野球観戦
Photo by Wade Austin Ellis on Unsplash
透明なカップの容積を黄色い液体が埋めてゆく。銀のユニフォームに四肢を守られたビール売りの女の子からカップをもらう。去り際に残す笑顔には、控室に貼られた売り上げ表の数字が滲み出ているかのように見えた。
まるでテーマパークの乗り物に揺られているかのような盛り上がりをよそに、見せ物として低い場所で動き回る選手の動きは、テレビで観るものと違って見えて、まるでゲームの世界へ迷い込んでしまったかのようだった。
グローブにこびりついた土と油の匂いが懐かしい。
同じもののはずなのに、フェンスの向こうにいる大柄の選手たちは、まるで戦地へと送られる選ばれた兵士のようでもあった。それもそのはずだ。彼らは日々厳しい環境に身を置いて、たゆまぬ鍛錬を日々行っているのだ。
それに加えて、生まれながらに持ち得た体と才能。
ある種の可能性を一定以上まで昇華させたのが彼らだった。
『喉が潤わないビールを飲んで、花咲いた力の行方に自己を投影させて夢を見る』
私にとって野球観戦とはそういうものだった。
懐かしい・・・
またいつか会える日を楽しみにしてる。