今週のお題「大切な人へ」
今週のお題「大切な人へ」
大切な人で思い出されるのは中学の頃。本当の初恋とはあれのことを言うのだと思う。
これまで私は、幼稚園から小学校まで「誰々が好き〜」と、よく自分で思っていたが、それは友達の延長であったり、遊んでいて楽しいであったり、そう特別な感情じゃないように思っていた。
好きな食べ物と同じような感覚だ。
それが特別な感覚として今も残っているのは、それがあまりにも青く幼い青春であったからだろう。
枯れ葉が落ちた下駄箱に、手紙を入れる感覚を指は忘れたりはしない。
大切な人、という言葉で思い出すのは、初恋の人でもなく、妻のことでもなく、母でも恩師でもない。(恩師とよべる恩師はいない)
四角い箱に収まった、上履きと名前、底に隠れたラブレター
透き通る空気のような風が、今なおそこには吹いている。
年をとって汚れたな。
初恋のあの人は、今はもうどこにもいない、大切な思い出である。