西へ歩く

ウィスキーの瓶を片手に池袋から富士山を目指し始めた九

Photo by Yoav Aziz on Unsplash この店で支払いを安く済ませたいのであれば、ポテトがおすすめだ。ボトルを入れて、お通しをカットすればずいぶん安く飲める。ただ客単価を異様に上げるお通しも、自店で見慣れてみれば、意外と体に良いものだと許容できるよ…

ウィスキーの瓶を片手に池袋から富士山を目指し始めた六

Photo by JuniperPhoton on Unsplash たぽん、という音が耳に心地よい。体が揺れる度に砂利とウィスキーの瓶が手の中で揺れる。足下から伸びる白線は店に着くまで三度ある交差点まで伸びて、ほろ酔いの気持ちで足を運ぶ私を案内してくれる。最も引っ越して一…

ウィスキーの瓶を片手に池袋から富士山を目指し始めた五

Photo by Filipe de Rodrigues on Unsplash 酒が足らない、というわけではない。元々自分は酒を飲む方ではない。それでも居酒屋に長く勤めていれば、絶えずウィスキーの瓶を持ち歩く程度にはなる。ゲームの中なら、剣士が剣を持つように。私は酒を持っていた…

ウィスキーの瓶を片手に池袋から富士山を目指し始めた四

Photo by John-Mark Smith on Unsplash 青い稜線の向こうから、陽が昇るのを感じた。果てしなく遠い世界から光はここまで旅をしてくるのだ。もしも途中に道がなければ、光はここへはたどり着かない。だとすればこの地球上のうえ程度、自分の足でたどり着けな…

ウィスキーの瓶を片手に池袋から富士山を目指し始めた三

ウィスキーの瓶を片手に 池袋から富士山を目指し始めた三 Photo by MARK S. on Unsplash 有給申請の書類を書き終え、シルバーのコールドテーブルの上にペンを置く。申請日数の枠には十の数字が書かれている。 十日ーー このお店に入って以来、五日と離れたこ…

西へ歩く2

Photo by Antonio Prado on Unsplash 最初は生活費を稼ぐために近場で働こうと、ぱっと目にとまって応募した居酒屋のアルバイト。これまで料理が得意ではなく、インスタント麺をゆがいたり、肉を炒めたりするばかりで、料理というものがまるでできなかった。…

西へ歩く

Photo by Monty Allen on Unsplash アスファルトからの照り返しで景色がゆがむにはまだ早い頃、ひょうきんな相棒を片手にこれから長い旅路をゆこうと道の上に立っていた。季節はまだ暑さの絶頂を迎えてはなかったが、すでに私の視界としては、ゆらゆらと行く…