猫だか妻だかお世話をさせていただいてます
今週のお題「ねこ」
Photo by Karina Vorozheeva on Unsplash
猫とは縁が深い。
青い屋根に白い壁、2階建ての実家では、私が物心がついた頃から猫が住んでいた。
飼っていた、ではなく、なぜ住んでいた、なのかといえば、人間は猫に対して「お世話をさせていただいている」という身分だからだ。
愛猫家とか、遜っているわけではない。
同じ家で、自由に暮らす猫たちの姿を見て、共存を謳っているわけでもない。そんな生易しいものならば、彼らの今晩のご飯に缶詰はつかないだろう。
これが人間を変えるのだ。
そんなまさかと思うなかれ。「人間の性格は大腸の善玉菌と悪玉菌によって性格が決まる」と言われるほどに、体内の菌によって人柄が決まる。
猫に多く触れ合っていながら、猫を嫌う人を私は見たことがない。嫌うのは鼻から近づかず、彼らが身に纏った毛の如く嫌うからだ。
触れ合う時間が長いとトキソプラズマは体内へと寄生する。
そうすることで何が起きるのかといえば。
猫のために生きる人間になる。
トキソプラズマは、生き残るために寄生した相手をコントロールする寄生虫なのだ。
商売繁盛に「まねき猫」が置かれるのもそのせいかもしれない。
猫は自分を養わせるために、より働くよう促すのだ。
これだけならいい。
妊婦に猫は禁物だ。
トキソプラズマは自分の面倒を見てもらえなくなるかもしれないと感じると、子供を流産させるのだ。本当かどうかわからないが、トキソプラズマがあまりにも当たり前に人間に干渉する事実は知っておいた方がいいようにも思う。
時折、妻に同じ思いを抱く。
日がな家でごろごろと転がる妻は、まるで猫のよう。
それをせっせと世話する自分は、まさにトキソプラズマに感染した人間そのものだ。
遺伝子レベルで話をすれば、もしかしたらそんな仕組みがあるかもしれない。
実家を出て暮らしの中に猫がいない今、こうしてせっせと働くのは妻のもつトキソプラズマにやられているからかもしれない。