響の実写映画を見た感想

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響の実写映画をネットフリックスで見ました。


hibiki-the-movie.jp

 

以下、感想です。

 

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人の心と心がカーチェースをしているかのようでした。ただし一方は一般人、もう一方はオリンピック選手がごとく圧倒的な才能と意志の固さ。才能という暴力が吹き荒れる1時間45分。

 

世界が自分に従わなければ許さない、筋の合わないことは認めない、常識という城壁は一切通用しない。心に従い、邪魔立てするものはすべて破壊する。ある種のネジの外れた超高性能AIのような存在『天才』。

 

原作はやはり漫画だからか、読んでいるこちらも響にやられて地面に転がる一般人が滑稽にも見えたのだが実写は違う。外に出れば街を歩き、仕事をし、家に帰れば家族がいる。会話もすれば好きなテレビや嫌いな野球チームに文句を言う、そんな自分のような人間が、拳で殴られ、靴で蹴られ、パイプ椅子で叩きのめされる。非常にショッキングともいえる映像だ。

 

情けなさや妥協・惰性の一切が許されない。触れたら最後、気に入らなければ100kmマラソンのような過酷な生き方からのリアイアは許されない。彼女に許されてない。

 

唯一できることは彼女から離れること。だが飛行機で地球の裏側へいっても、スペースシャトルで宇宙へ飛んでバカみたいにでかい地球を見てみても、想像を絶する広さの宇宙を旅しても、生きている限り、目にした才能からは逃れられない。

 

傍若無人に生きて、多くの人を感動させる。そんなことは天に与えられた才能を持った人間にしかできない。そんな現実に打ちのめされるような話だ。

 

元々そういう話だと思っていたけれど、実写にすることで響に対して引く人がでるんじゃないだろうか。漫画や小説は夢の世界だ。カッコイイ主人公と可愛いヒロインがいる。恐ろしく頭の切れるイケメンや、ポンコツでみんなの笑顔のもとになるような天然キャラ。

 

さぁ、現実に、現れましたよ。どうでしょうか。可愛い、カッコイイ、憧れる、その実態はいかに。

 

暴行事件、器物破損、賠償金に囲まれる日々が実際のところ。一部の都合が良い部分だけを抜いて創作をみていた人にとって、良い問いかけができたのではないかと思う。響の実写化はそんなように感じた。

 

それらがどういうことなのか、知る機会となるかもしれない。その上で現実や創作の世界と付き合っていけたなら、これまでより一回り達観した感性と人生の楽しみ方を手に入れることができるのではないだろうかと思う。

 

稀に見る、実写化に臆さない内容でした。

 

最後に、主演の平手友梨奈さんは、原作者から指名されての配役。雰囲気ある。彼女以外にできないと思う。最高でした。