不況よし

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Photo by Aziz Acharki on Unsplash

 

パナソニックの創業者・松下幸之助

 

 「好況よし、不況さらによし」

 

と言ったそうですが、それを聞いて「え?そうなの?」と胸が軽くなる思いだ。

 

毎月つけている家計簿のグラフが見事に右下がりなのを見て、心中火山にでも飛び込むような想いで生きています。経済は緩やかに回復している、という声もメディアでは聞きますが、経済というのが個人でも機能しているのであれば、それはとんだ嘘ということになる

 

なにせ、状況はどんどん悪くなるばかり。私の毎日は分厚い暗幕で閉ざされた教室のように暗く、少しでも動けば散乱した机や椅子に指先が触れて、煩雑な音とともに惨めな醜態を脳が記憶していく時間を過ごしている。

 

不況さらによし、という言葉を見ても、冷凍庫にある湿気ったアイスモナカを見つけたような気持ちで、人生細かいことを気にしても無駄、というドラマの脇役が笑い飛ばしそうな台詞と、不況だからこそ本当にチャンスのあるものが見つかる、とか自己啓発系のtwitterなんかで目にしそうなやっすい台詞が脳によぎった。

 

好況よし、不況はさらによしかぁ。

 

じゃあ自分の状況はどうなのだろう。不況だがよしなのだろうか。好調なときとの違いを比べようと思ってみても、手頃な好調な状況なんてものはなかった。比較がないなら不完全ながらも、今ある材料で考察してみようと思う。

 

この状況、自分は何がよしか。

精神が鍛えられる。生活の無駄が整えられる。断捨離。お金の使い方を見直せる。運命に賽を任せすべての責任から逃れられる。

 

個人的には最後のやつだけ有用だ。運命様にお願い!なんて手を合わせてしまいそうだが、かろうじて残った自尊心のようなものがそれをおしとどまらせる。コーヒーでも淹れにいこうかしらん、首を傾ける。

 

おそらく、と頭のどこかで声がする。

そんな改善策が〜とか、断捨離できる〜とか、そんな短絡的なことでない気がした。単純に、苦労した分よいことあるよ、とかそういう話な気がする。だったらやることは1つだ。

 

どうにかこらえて日々を生きること。

固く結ばれた紐の結び目を爪先で解いて再利用するような日々だけど、それでも堪えに堪えて生きること。きっとそれが自分の人生のテーマなのだと思う。

 

堪えること。これを指針に人生を追求してみよう。

ならば不況よし、だ。